世界の果てで、呟いてみるひとり。

鳴原あきらの過去・現在・未来

オフラインの間に読んでいた、同人誌の感想など。

普段、読む時間がなくて積んでいた本とか、読み返した本などの感想をメモしておきます。



オカワダアキナさん(@Okwdznr)『FLAT』再録短編集。何十回でも読みかえせますね。登場人物の行動に筋が通っているからなのか、詰め込まれた小道具や風景に、かけられた豊かな時間を感じるからなのか……収録作、どれもいいんですが、『金継ぎ』から再録された「バイ・ミー」、あれイントロちょっとギョッとするんですけど、ハイジさんと連絡とれなくなった後から最後にかかってくるピラルクの電話までの流れがすごく巧くて「なるほどなー」ってなる……あと「昨日のかみさま」。これちょろっとアランもいますけど、おかさん、めぐちゃん本当に大好きだなあと思います。いや、私も好きですけど、ヒロインなのにどこでも裸族……。


添田健一さん(@soezou)『キリンライナ』明の時代、アラビアからキリンをはるばる運んだ史実を描いた上下巻。今回も女性が大活躍する爽やかな物語ですが、活劇部分がやや少なめなのが残念でした。あと周都督、っていう単語が出てくる度に周瑜公瑾って思ってしまって(ソレ個人的病気だから!)


絹田屋さん(@kinuta_ya)『竜胆を胸に抱く』鉄板耽美小説。「懐かしい」と思ってしまいました。大正時代の学生生活に違和感のない人、純文系耽美小説が好きな方はぜひ。個人的には映画版の『屍者の帝国』で、死ぬ直前の村瀬歩細谷佳正を禁忌で口説いた場面を思い出しました。


絹田屋さん(@kinuta_ya)『松虫草で弔って』竜胆〜を反対側の視点から描いているので「B面」と思いました。ただ、耽美小説で完全に病人側から視点ってちょっと珍しいのでは? 2冊でなりたってる本で、こちらを後に読んだ方がいいと思いますが、こちらの方が好きかも。


アイラさん(@aira_lastand @3dai_yokai)『気軽な懺悔』通称、懺悔アンソロ。たまさんのモーツアルトの懺悔しか読めてなかったので、通して読みました。面白かった。意外に明るい話が多かったです。悲惨でも懺悔じゃない話もあって「え?」とか。私の収録作は、悪い女の話なので明るくないです……。


盛林堂書房(@seirindou)ミステリアス文庫『ダンセイニ卿 少年少女作品集成』。冒頭読みかけで積んでしまって埋もれてました……どの収録作も面白いけど「蝶と少年」が一番楽しかったです。そういうオチか!みたいな。


孤伏澤つたゐ先生(@tutai_k)『常世辺に帰す』語り直し日本神話合同誌。どれも力作なんですが、読む側に素養が必要。あとこれ日本神話?的な部分も。明快に主題に沿っていてオススメなのは、並木陽さんの「茎韮の花」(悲劇なのにやはり強い女の話!)と、主催のつたゐ先生の「久遠のいらえ」(完璧な語り直し神話! つたゐ先生ならでのぬるりとした感じもあります)。


孤伏澤つたゐ先生(@tutai_k)『しろい庭のむすめ 中』『幼神』と同じ世界観のファンタジー。中巻は人間編なんですけど、アルシャがいきなり刺された場面ですごいショックを受けて、続きを読めてなかったので、読み直しました。幼神とは正反対の、すごいスピード感あります。


孤伏澤つたゐ先生(@tutai_k)『しろい庭のむすめ 下』いつ戦がはじまるんだろうと思っていたら神代で終わってしまった……(驚愕) みんなガンガン死んでは復活するのでハラハラしました。その後のお話も読んでみたいです。というかこれなんで商業誌じゃないの?


孤伏澤つたゐ先生(@tutai_k)『風のいとしご』しろい庭のスピンオフ。きちんとまとまっていて、単体で読めるので、ここから読んでもいいかもです。運命の二人なのに、そこにたどり着くまでの紆余曲折……私、本編でエミリーとゼトがイタしてる場面にイードが乱入してきて、「取り込み中じゃなかったら相談にのって」っていう場面がすごく好きなんですけど、あらためてそりゃ二人とも怒るわなって思いました。おもいっきり取り込み中だしね……。


壬生キヨムさん(@kiyomumibu)『作中人物月へ行く』キヨムさんの第一歌集。しかもサイン入り本なのですよ……。私は定型詩がぜんぜんわからないのですが、キヨムさんの歌は読めます。誰もが知っている言葉しか使われていないのに、手垢のついていない組み合わせで、いつも新鮮な気持ちで読めます。気分転換したい時にオススメ。


桜鬼さん(@HanaOniTiriyuku)『天使の番』静かで美しい旅行小説。私は若い頃、初海外で、三週間ぐらい、友人と三つの国をブラブラしたのですが、その時が一番健康で自由だったんですよね。でも普通は何かにとらわれていたり、目的があるのだということを思い出しました。


きよにゃさん(@kiyonya3)『ぼくとお兄さんたちのナイショの会合』主人公の陸くんが10歳とは思えない知的な子なんですが、内容は間違いなくR18。書き下ろし部分もびっくりでした。普通だったら「悪い子!」って思うところなんですが、本人のせいじゃない部分もあるし、彼の行動原理は処世術的な何かなので……それにしても、崇にいちゃんは気が気じゃないですね。


えのころ工房(@enokoro1999)さん『千金に行ってきました』岡山県真備町で毎年行われている金田一耕助のイベント「1000人の金田一耕助」に参加してきました、という2017年版のレポ漫画です。知らない人は最初から読まないと思いますが、ディープなのにわかりやすい紹介で素敵でした! 昨年は、7月の西日本豪雨のせいで、現地が復興途中でありながら行われたんですよね……。


鹿紙路さん(@michishikagami)『翼ある日輪の帝国 パイロット版』なんとアッシリアBL……! 鹿さんしか挑戦しないのではっていう難易度の高そうなジャンルですが、たぶん他の鹿さんのお話よりも読みやすい気がしています。完成版は5月発行予定だそうなので、鹿のように首を伸ばして待て!


並木陽さん(@namicky24)『カレワラの夢』十九世紀に編まれた叙事詩「カレワラ」のお話。他の国に長時間支配された後、自分たちの文化を築くというのはすごく大変なことなんですよね……並木さんの手腕で美しい短編にまとまっていますが(アンソロジーの再録なので10000字なんですよね)、もうちょっと長い尺で読んでみたい作品でした。



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というか私、ほんとに感想が感想になってないっていうか……。