世界の果てで、呟いてみるひとり。

鳴原あきらの過去・現在・未来

Book Baton


【TEA PA.別館鋼】の斎木恵佳様からブックバトンを頂戴しました。そうか、blogじゃなくても回していいんだ、とちょっとガッカリすやら安心するやらな私です。どのみちチェーンメールであることは変わらない訳ですが。



●持っている本の冊数



ごめんなさい、わかりません。
自分で買った本、漫画は、以前は自室に置いてたんですが、親が共用感覚で勝手に片づけてしまう(部屋からもっていってしまう)ので、何百冊あるもんだか数えられないのです。同人誌はたぶん全部自室にあると思われますが(親がさわらないから)、別の意味で数えられる状態ではなかったり。



●今読みかけの本 or 読もうと思っている本


『悪い男』津原泰水/原案・脚本:キム・ギドク(バジリコ株式会社)
韓国映画のノベライズ。読み始めたらいつもの津原節なので、慌てて読んだらもったいないと枕元に積んであります。まだソナが坂へ連れていかれる途中ですよ……。



●最後に買った本(既読、未読問わず)


『考えるシート』山田ズーニー講談社
→謝りたい人がいるんですが、どうしていいかわからない。自己満足でなく謝れる方法があるのなら、と思って買ったんですが、この本を読むことすら怖かったりして。



●特別な思い入れのある本、心に残っている本5冊まで


小説書きに舞台裏をきかないように……好きな作家については評論のページで結構書いているので、なるべくそれ以外のものにいたしましょう。ってかこれ、ほとんど絶版?


秘密の花園バーネット(新潮文庫?←手元にないので訳者共に不明。滝口直太郎かな?)
→子どもの頃、愛読した本から一冊。病弱でひねこびた我がまま娘、メアリー。それは親の赴任地の灼熱の気候と、ろくに親にもかまってもらえないゆえです。あげく孤児になってしまった彼女はイギリスの親戚に引き取られます。陰鬱な主人のいる薄暗い田舎の屋敷の生活は楽しそうには思えませんでしたが、彼女はそこで精神的にも肉体的にも健康を取り戻し、周囲までも変えていきます。子どもの大好きな「秘密」と「サスペンス」がたっぷりで、バーネットで一番好きな小説でした。


探偵物語別役実(大和書房)
→これに収録されている「夕日事件」が、今でも最上の探偵小説だと思っています。仕事のない探偵X氏のポストに、ある日挑戦状のように届いた白紙の手紙……彼の探偵行、その真相と結末の過不足のなさ。別役自身もこの短編が好きらしく、別バージョンがいくつかあるようですが、この本の中で、この位置で、この文章で、この世界観の中で読むことが肝要です。このシリーズの主人公X氏が探偵であることは、町の誰もが知っています。しかしいざ探偵を頼もうとすると、町の人は目の前にいてもX氏を思いだしもしない……その設定を、ただX氏が無能だからと笑うか、チェスタトン的逆説と感心するか、不条理演劇の一つの流れととるかで感想が変わってくる気もします。


『とりっくものがたり』松田道広(筑摩書房
泡坂妻夫論と都筑道夫論をやるつもりの人は必ず読むべし。読まないで偉そうなことを書くと恥をかきます。現代の推理小説の流れは、この時期には想像もできなかった方へいっており、それはそれで仕方のないことだと思いますが、硬派の推理小説書きは、この本は探してでも読むべきではないかと。当時の私は『黄色い部屋はいかに改装されたか?』(都筑道夫)やらヘイクラフトの各評論、各探偵別の叢書をよみふける中学生でした。


『月蝕領崩壊』中井英夫立風書房
→最初に感銘を受けた『幻想博物館』なり、代表作の『虚無への供物』なりあげればいいのにと思われそうだけれども、一番大きく目を見開いて読んだのは、このBの食道癌闘病記なので仕方がなく。佐多稲子の『夏の栞』なんかも好きなので、愛する者と別れねばならない時に陥るあの嫌らしい客観性(己への演技)が好きなのかもしれず。あらためて田中貞夫(B)という人はできた恋人だなあ、死の直前まで中井のおもりは大変だったろうにと思う。最晩年を看取った助手の本多正一に、田中の墓と自分の墓を半分こにしてくっつけろ*1、とごねた中井という人を好きだった自分はなんなんだろう、と思う日すらあります。いや、久生への道しるべになってくれたことは、しんじつ感謝してますが。


『「レズビアン」である、ということ』掛札悠子(河出書房新社)
→当時二十代だった掛札氏のその明晰な論旨は今なお新しく、読む者の目を開いてくれます。私の人生の方向を変えた本といっても過言でなく。世間一般ではネガティブな意味合いでしか使われていないその言葉が意味するものは何なのか。女性をとりまく状況はあれから変わったのか。この本に出会ってからすでに十年以上がたちますが、いまだこの本より先へ行くことができずにいます。



●次に回す人5人まで



id:hurukawa様 ←前に欲しいとおっしゃってたような。
id:wang2zhonghua:20050703#p1様 ←バトン乱射を希望されているようなので。


そんな訳で、今回は上記のお二人へバトンを回します。

*1:この話を読んで拙作「墓には何と名を刻む」を思い浮かべた人は間違い。そのエピソードをしるより前に、あの短編を書いてます。