世界の果てで、呟いてみるひとり。

鳴原あきらの過去・現在・未来

ちまちまちまちま。


最近のスキマ読書は『探偵小説四十年』です。私は「日本人は迷ったらとりあえず乱歩まで戻れ」主義な訳ですが、ネットの合い間、数分ずつ読みかえすだけでも、ちょっと呼吸が楽になります。ちりばめられている警句や、人間観察が面白いのは言うまでもありませんが、一定の落ち着いたトーンの向こうに、ほどよく情緒的、ほどよく理性的な作家の人柄がうかがえるからでしょう。反骨精神があってもそれをむき出しにせず、それを例えば「自分は小説をやってるんだからパージ(公職追放)なんかとけなくても痛痒は感じないので、ほうっておいた*1」的なのんきさで表現したりしているのが、読者に安心感を与える訳です。したり顔の若造が言うのとは違う、しかし「稚気」とでもいうべき柔らかさ、もしくは華やかさがある。


人柄だから、真似できるものではないんですけどね、ええ。

*1:原文はいつもの乱歩節なのでだいぶ違いますが。