世界の果てで、呟いてみるひとり。

鳴原あきらの過去・現在・未来

伊東深水展、よかったです


母がどうしても行きたいというので、一緒にいってきました、伊東深水
http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/2011206.htm


新発見の絵画を含む100点の展示ということで、いつもと違う場所が入り口になっていて、みるのにもかなりの時間がかかりました。代表作の美人画だけでなく、版画やスケッチ、デザイン、着物、印章まで揃っていて、見ごたえのある展示になっています。
カタログは大判でそれなりのお値段がしますが、「海風」が表紙で、スケッチの添え書きなどもわかる形で収録されているので、買いかと。
絵はがきや色紙は、欲しいと思う絵柄がなく(売り切れていたんですかね?)、ちょっと残念でした。「夕映え」や「海風」が欲しかった。特に「海風」は非常にいい絵ですよね? 画題もいいし、明るくてすがすがしい絵です。
五十代になると、すこし線が太くなってきますが(でも動きのある絵で面白い)、それまでの線の繊細さは、ほんと凄いですよね。版画でもうなじの髪の毛いっぽんいっぽんの表現とか、神業ですね。
面白いのは、そういう繊細な表現と、ぼかしの手法というか、まったく輪郭がない部分がある表現が、ひとつの絵に混在している作品がけっこうあることかな、と思いました。植物や着物の柄はクッキリ描いてあるのに、人物だけはおぼろとか。試行錯誤していたのでしょうか。
カタログに、鏑木師匠との関係が描かれていましたが、深水にとっては第二の父のような存在だったんですね。師匠を描いた一枚がありましたが(依頼原稿を前に呻吟している図?)、愛情のこもった絵だと思いました。師匠を追うように亡くなっているようですが、そんなに頼りにしている人が死んだら、ガックリしてしまうかもなーと思ったことです。


日曜までですが、近い方はオススメです。