世界の果てで、呟いてみるひとり。

鳴原あきらの過去・現在・未来

映画館で観る映画だと思いますけれどもね。


『キャロル』


「キャロル」の感想は、映画館で観た時と、そんなにかわらないんですけども。


ケイト・ブランシェットのキャロルが、ダメセレブでなく(脇が甘いところはあるにしろ)、ルーニー・マーラが憧れるのが自然な、非常に魅力的な女性であること。
反対にルーニー・マーラのテレーズは、原作よりちょっと遊び人っぽいこと。
脚本の最終稿までいた、ロビチェクさんの消失が残念なこと。
リチャードのボンボン度が原作より下がってること(会社の軽トラじゃなくて、自転車乗りなので朴訥な印象に)。
ハージが原作よりも、だいぶマシな男なこと(むしろ親がめっちゃ嫌な人たち)。


というわけで、どうしても原作との差異が気になるわけなんですが、二度目に観た時、「皮肉だなあ」と思ったのは、キャロルが娘の親権をハージと争っている間、はやりの心理療法士(しかも法外な料金とるやつを、ハージの親に紹介されてる)にかかってること。


ハイスミスは、マーク・ブランデルと、なんとか結婚できないかと苦悩した末、心理療法士にかかってたっていうのに。そのカウンセリング代金が払いきれなくて、自作が映画化されてるのに貧乏になって、仕方がなくてデパートでアルバイトして、それが『キャロル』の発端になったっていうのに……!


というか、どんな凄腕の心理療法士でも、「生理的にあわないわ」って男と結婚できるようにするとか、無理だよね……ハイスミスが無茶なのよな。


時間をおいて、また、観てみたいと思います。


通常のDVDには何のオマケもついてないので、テレーズの撮ったキャロルの写真を見てみたい人は、ぜひ、スペシャル版を買ってください。あれ、確かに綺麗だと思いますよ。