おか@文フリ東京B-52 @Okwdznr
鳴原あきらさん( @narisama_cmbot )『それから』読了しました。アラブBLアンソロ掲載の「それから」の続きということでたいへん楽しみにしておりました。アンソロは会話やシーンの切り取りがかっこよくてたまらなく…こんなに素敵なアラブBLがあるんだ!と撃ち抜かれたのです→
表紙にあるとおり「出会うはずのなかった二人が落ちる運命の恋」なのですが、一気に読んでべそべそ泣きまして…。いわゆる「泣かせる」ためのお話ではないでしょうし、登場人物と自分に共通点はまるでないのですが、「身に覚えのある何か」を刺激されるのです。→
鳴原さんの作品で起きているできごとや、人物がもてあましている感情は、つい自分に重ねてしまいたくなるというか…(自分勝手な読み方をしておりお恥かしいのですが)。この本ではアンドーくんとマリクが出会い、近付き合うさまがえがかれます。→
亡くなった恋人の思い出や受けた影響によって今のアンドーくんがつくられていて、そこには決してマリクは入っていけない。逆もそう。そのうえで二人はどうするのか…「舞台裏」の章のラスト2ページのやりとりがとても好きです。勝手ながら読んでいる自分もまた →
救われた気持ちになりました。そういった救いが恋のかたちをしているのが本当に素敵で、ありがたく思いました。読んでよかったです。また、クールなせりふや、食事やデートのディテールがほんとツボです…。あとがきでアンドーくんのこと「バブル時代風味の年寄り」→
とおっしゃられてましたがほんと好きなんです…かっこよくてちょっとスカしてて聡明ででもちょっと泣き虫…。私の個人的な憧れに刺さるのでしょうが、たぶん読んだ方はそれぞれにそういう「あのときのアレ、言葉にできない何か」を刺激される一冊だと思います。
『それから』のことですけど、亡くなった護さんとの時間はアンドーくんにとってどこまでも特別で、人生で一度きりの恋だったわけで。アンドーくんはその影響下にいまもあるけど、もうぜったいに帰ってこない時間なわけで…。読んでいるわたしは恋人を亡くしたわけではないけれど、→
「自分をかたちづくっている、かけがえのない、戻れない時間」というのは身に覚えがあって(誰にでもあって)、日々生活していく中でときおり喪失感みたいなものを感じてしまう。青春時代に出会ったナンバーワンのひと/ものごとと添い遂げられるひとはまれで、→
誰だってある意味ではアンドーくんと同じ「恋人をうしなった抜け殻」なんだなあと…。そういうなかで魔法のように出会った異国の青年に好かれ、なんとなく寝室をともにして、少しずつ心を開きあって…たがいに決して入り込めない過去を持ちながら→
「もうしばらく、よろしく」と生きてゆくことを選ぶのが本当…ウッウッ…よかったなあ、救われるなあと思ったんです…。そのことがアラブBLでえがかれているのがほんとにうれしかった。なりはらさんありがとうございます…。
オカワダさん、今回も素敵な感想をありがとうございます。
私が救われます……!