世界の果てで、呟いてみるひとり。

鳴原あきらの過去・現在・未来

まだ後半部分は聞き逃し配信で聴けますが


「暁のハルモニア
https://www.nhk.or.jp/audio/html_se/se2018017.html
https://www.nhk.or.jp/radio/ondemand/detail.html?p=0164_01


金曜日に終了してますので、以下、ざっくりストーリーを。


天文学者ティコ・ブラーエの隠し子、医師であり若き学者であるヨアヒム・ハインツェル。三十年戦争のさなか、働いていた大学が焼けてしまい、また、ブラーエの弟子であるヨハネス・ケプラーが父を謀殺したと母に吹き込まれて、ケプラーを探す旅に出る。途中、幼なじみで司祭であるイザークに助けられ、同行中に偶然ケプラーと出会う。ケプラーとヨアヒムは意気投合、ケプラーは死のまぎわに秘密の手帳を託す。最終ページに残された、暗号で書かれたある法則を解き明かすことを誓って、彼は再び旅に出る。しかし、天動説を唱えるケプラーの弟子となったプロテスタントのヨアヒムは、カトリック大司教に危険人物と目され、命を狙われる。が、親友のイザークが助けられたり、戦火で母を失ったイギリス人の傭兵の息子ルディーに助けられたり、医師を求めるアマーリエ伯爵夫人の助力をうけたりして切り抜け、最終的に進軍中のスウェーデン王に気に入られて娘の家庭教師となったりする。しかしヨアヒムは、ヴァレンシュタインの告解聴聞僧をつとめるイザークの命が危ういと知ると、スウェーデンを裏切って親友を助けに行き、そのために大怪我をしてしまう。命の火がつきようとした時、ヨアヒムはケプラーの残した暗号は万有引力の法則だと看破するが、それを誰にも伝えることができずに亡くなってしまう。ウェストファリア条約で戦況が落ち着くと、イザークはアマーリエ伯爵夫人を訪ねて二人でヨアヒムを偲ぶが、ルディーによってケプラーの暗号が伝わったはずのイギリスで、半世紀後、ニュートン万有引力の法則を発表する。


たった2時間強のドラマですが、ドイツ三十年戦争の主要人物を巧みに紹介、激動の時代にもまれながら、調和ある理想の世界を求めた若き青年の物語になっていました。
まさかヨアヒムがさくっと死んでしまって、イザークが復讐鬼になって大司教たちを粛正するとは思わなかったですね……。ヨアヒムとイザーク二人は架空の人物なので、そしてイザークは司祭らしからぬ柔軟で気持ちのいい青年なので、イザークが死んでしまってヨアヒムが偲ぶ展開になるんじゃないかなと思ってたんですが、何の後ろ盾もないヨアヒムが重大な法則を発見したところで、それを発表できるわけもなく、話の流れとしては合理的なんですよね。悲しいですけども。


昨年のラジオドラマ「斜陽の国のルスダン」の後に、「オリジナルの脚本をかいてみませんか?」という展開になり、なんとキャストをアテ書きしながら書いたという、並木先生の大型新人っぷりも凄いですが、初脚本でここまで書けてしまう並木さんの素養を見抜いたNHKのスタッフさんも凄いですね。


でもお話としてはルスダンの方が好きかな……アマーリエ方伯夫人、あんまり活躍しなかったし……ヨアヒムが頂点の三角関係(イザークとヨアヒムとアマーリエ)は露骨で面白かったのですが、ルスダンにおけるジャラル様の片思いの方が(しかも史実)味わい深かったですね……。