世界の果てで、呟いてみるひとり。

鳴原あきらの過去・現在・未来

「巌窟王」第二十一話


「貴公子の正体」の演技が素敵すぎて、前半のダングラールへの復讐が割とどっかにいっちゃうっていうかなんていうか。せっかく「ごきげんよう、マルガンセールのヘルベルト・カッツ」って伯爵が言ってるのにね(待て、それ後半別のアニメの台詞*1!)
というかダングラールへの復讐、ちょっとわかりにくかったような。せっかくちょろっとルイジ・ヴァンパ出してるんだから、あのあともっとねちこく復讐劇やればいいのに。というか若い頃の演技は若者らしくしようよ、みんなー。


なぜかバティスタンが、アルベールの恋路を応援しています。かなり子ども好きの伯爵なので、アルベールが彼が救えるんじゃないか、と思っているのかもしれないけど。ちょっとびっくりした。でもアルベールが伝えたいことってどうせフランツの遺書(名恋文)でしょ? なあ。
あと、完全にバラバラになってるモルセール一家ですが、あらためてアルベールの母親ってメルセデスじゃなくてフランツだと思った。「おまえはオレの母親か!」の台詞はあっていたね。というかメルセデスがほったらかしてるから、ヘタレのくせにフェルナンが武力行使に出るみたいじゃないですか。首に縄つけといてよもう。いやあ軍人おっかねえ。


裁判所での父と子の再会シーンは、期待どおり、非のうちどころがありませんでした。
生まれ落ちた日にヴィルフォールに生き埋めにされかかったカヴァルカンティ。証言台で出生の秘密を語り、「お父さん」と情感たっぷりに呼びかけるその姿は、おそらく今までの回で一番美しく描かれていたんではないでしょうか。ニヤリとさせて、シンミリさせて。こうでもしなければ息子として認めてくれなかったでしょう、という台詞の、どこまでが演技で、どこまでが本音か。おそらくそれは本音であり演技であるというのが正解。父に会いたかった、という気持ちは本物。そして17年間恨んできたという気持ちも本物。ゆえに己の手で復讐を完遂できた彼の頬には、可憐な微笑みが浮かび、なおかつ父の形見を握りしめて再び牢へ引かれていく訳で――。
なんで関智一にこんなイイ役がきたんだろうかと思うに、やっぱり秋元羊介=師匠とドモン=関は常にセット扱いだからなんだろうなと思う訳ですが、カヴァルカンティって元々面白い役どころなんで、普通にやっても面白い訳なんです。それが、師匠のせいで(今回は父親と隠し子という設定だけでおかしい)、「絢爛舞踏祭」のせいで(今回も「盗んだバイクで走り出してた」訳ですから)、面白さが二乗されている訳なんですが、やっぱりあの怪演っぷりがいちいち面白くて。いかにも普通の青年らしい声、気取った声、しおらしい声、荒っぽいどなり声、狂笑、悪のオーラ……ここまでテンションをスカっと切り替えられる人だとは思ってなかった正直。それ以前に、普通の役ではそんなに幾つもの仮面をかぶれない訳ですが。
おいしかったです。堪能しました。


ところで今更、Movie Walkerのサイト行って、巌窟王「ボイス・キャスト座談会」見てみたんですが……中田譲治ってゲーマーだったんだね。PSPの「最後の一個を手に入れたよ」って若者にそんなに嬉しそうに語るとは……いや、イメージ違いません。そういう人だと思う。むしろユージェニーが屋根の上で中田節で「呪いなり」ってやりたいと言った時の方が笑った。それ面白い。なんかすごくよくわかる。楽しそうだ。そして福山潤がカヴァルカンティを演ってみたいと思うのはまったくもっともだね!

*1:OVA敵は海賊・猫たちの饗宴」の中田譲治の台詞。