世界の果てで、呟いてみるひとり。

鳴原あきらの過去・現在・未来

誰だこの女。


職場で電話をとりながら、ふと窓にうつる人影をみて愕然とします。
むくんだ顔。暗い表情。重たい髪。丸まった背中。だらしないしゃべり方。
瞬間、首がつりたくなって目を背けます。


毎朝鏡にうつしているのは、意識してつくった顔です。
意識していれば、相手にあわせて声をかえます。背筋ものばします。一応お化粧もしています。しかるべき場所では、それなりの格好をします。


だけど、今みた亡霊のような姿の女に、この自分ですら話しかけたくなかった。
「あっちいけ」と思った。
否定的な言葉を投げつけられた時「なんで私が!」と思い、きつく当たりかえしてしまったりすることもある訳ですが、私が相手だったら迷わず「なんだと、てめえナニサマのつもりだ」って言うよな、と。


どんなに素で美しい人も、とりつくろって暮らしているのだと知っていても。


無意識の自分、おそろしい……。