世界の果てで、呟いてみるひとり。

鳴原あきらの過去・現在・未来

古傷がうずくぜ。


十代の頃はバリバリ懐古趣味だった、ということをふと思い出しました。
まあ「香山滋が面白くて」といって山村先生に渋い顔をされ、北原さんに「感心な娘さんだ、では『ゴジラ』の復刻版をあげよう」と誉められた訳で(このエピソードについては、以前ここでも書いたと思います)。
「『黒死館殺人事件*1より『人外魔境』*2、『ドグラ・マグラ』より『犬神博士』*3が好ましい」ときっぱり言いきってしまう学生でしたから(今でもか? 趣味というか素養がバレるな)。
いや、別に秘境探検物が好きであった訳ではなく、久生十蘭までくると、むしろ遭難物の難しい奴は、いまだに歯がたちません。『ハムレット』とか『蝶の絵』のような、のらりくらりとした男の話は猛烈に好きなんですけどね。あ、そういう意味では顎十郎もか。
今の若い人は、高橋葉介が清潔な絵柄だった頃(今やベタベタ)や、山田章博が水もしたたる艶っぽい絵(今はだいぶ乾いた感じに)を描いていた頃をご存じないと思いますが、彼らが描いていたところの大正ロマンあたり、あそこらへんが好ましかった。


それがもう昔話ですからね。


古傷がうずくな(いや、実際に痛いんだけど)。

*1:青空文庫で読めるようですね。http://www.aozora.gr.jp/cards/000125/files/1317_23268.html

*2:http://www.aozora.gr.jp/cards/000125/files/1321_8653.html

*3:『犬神博士』はないですね。かわりに、『超人鬚野博士』http://www.aozora.gr.jp/cards/000096/files/2099_22206.htmlと『白髪小僧』http://www.aozora.gr.jp/cards/000096/files/919_22031.htmlを紹介しておくか。あ、『いなか、の、じけん』もある!http://www.aozora.gr.jp/cards/000096/files/919_22031.html