世界の果てで、呟いてみるひとり。

鳴原あきらの過去・現在・未来

福田さんゆかりの、岩手県二戸市のキュレーターさんが


10日に来ると書いてあったので、その日と時間をあわせて。


武蔵小杉で降りることなんて、ほぼないといっていいので、会場へは駅からバスで向かいました。目印になるような建物もあまりないので、帰りもバスで。


川崎市市民ミュージアム、初めて行きましたが、けっこう広いですね。博物館と美術館の一部をあわせてある感じ。
子どものためのマンガコーナーもありましたが、置かれている漫画がすごく大人向けで、「これって30代以上の人のコレクションを放出したのよね?」的な懐かしすぎるラインナップ。
また、川崎が工業都市であることをアピールするかのように、トーマス転炉という、鉄鋼用の溶鉱炉のオブジェがあちこちにあって、それが黒々とした感じがやや怖いような。
歴史のコーナーもひろくとってあり、川崎の小学生はこういうところで「わたしたちの川崎」的な勉強をして帰ってゆくのか、自ずと私らとは違うだろうな、と思ったりもしました。一般展示で一番おどろいたのは、どんど焼きの展示でしたが。あんな巨大なティーピーみたいなものを燃やすのか!


で、肝心の福田繁雄展なんですが。


キュレーターさんの話はよかったです(3月の地震で、岩手の福田繁雄デザイン館での展覧会などがすべて中止になってしまったそうなのです。あの日、真っ先に倉庫にいって、展示品が壊れてないか確認したそうです。そりゃ、ヒヤヒヤものですよね。ちなみに岩手には、福田さんのお母さんの実家があり、戦争中に疎開してから、大学に行くまで住んでいたのだそうです)。
また、貴重なスケッチなどもいろいろあって、見られてよかったです。


が、思ったより、立体の点数が少なかった。
福田さんの仕事はデザイナーですから、ポスターや平面作品については、私たちはよく目にしているわけです。コマーシャルデザインや、反戦や平和を訴えるデザインなどは、知らず知らずのうちに、プリントされた形でみている。
(たとえば《NO MORE》。福田さんは、砲弾ひとつひとつを手ではりつけてつくっていったといいますが、完成されたポスターは皆さん、どこかで見てますよね? http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/art-museum/catalogue/fukuda_shigeo/fukuda_shosai.htm
だから、立体が見られるのをすごく期待していったわけですが、思っていたより展示室が狭く、それなりに並んでいるにもかかわらず、「これだけ?」という感じがしてしまったのです。「これがあって、あれはなんでないの?」という物足りなさ。
あと、受胎告知の天使像を横向きに見ると「SAMPLE」という文字になる、という立体作品があったのですが、なぜ天使がサンプルなのかわかりませんでした。流れていた福田さんのインタビュービデオでは「天使は人間のサンプルですから」という説明がなされてましたが、天使がサンプルってどういう意味なんだろう? 説明になってないような?
それから、有料展示以外の場所にも、企画展示として、福田さんのポスターが貼ってあったのですが、そちらの方に目新しい作品があったり、大回顧展と重複していたりで「なんでこっちにコレ?」的な部分も。
《ランチはヘルメットをかぶって》の現物展示は良かったです。光の当て方を変えられるので、どれだけきっちりつくられているか、よくわかりました。
http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/art-museum/catalogue/fukuda_shigeo/fukuda_261_lunch.htm


会期が二ヶ月ほどあるので、たぶん、展示品は入れ替えをするんだと思います。カタログに、展示されてないものの写真もありましたし。
そうだとしても、やっぱり、もうちょっと立体がみたかったな……
ミュージアムショップでも、あまり食指の動く物がなく、実相寺監督が描いた、四畳半の宇宙人(「狙われた街」のメトロン星人)のハガキを買って帰ってきましたよ。
映画上映などもやっているようなので、何かの機会に、また行くこともあるかもしれませんが、駅から遠いのがネックかな……バスで10分、目印もあまりないような道を、歩きたくないというか。地元の人はいいんでしょうが。