世界の果てで、呟いてみるひとり。

鳴原あきらの過去・現在・未来

「走れメロス」そのものがねえ


「「走れメロス」は走っていなかった!? 中学生が「メロスの全力を検証」した結果が見事に徒歩」
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1402/06/news071.html


先日、ねとらぼで取り上げられていた、中学2年生の村田一真くんによる「算数・数学の自由研究」作品コンクールに入賞した「メロスの全力を検証」(PDF)ですが。


私が最初に思ったのは、「そのネタもう、ずいぶん前に読んだ気がするけど?」でした。


メロスは全力で走ってなかった、っていうネタ、そんなに、新しくないはずですよ?
たとえば「メロス」「走ってなかった」って検索かけてみれば、いくつもでてきますよ。


いや、そのネタを「理数教育研究所」の人を知ってたかどうかは別として、このPDFにある計算自体は、たぶん問題ないし、この村田くんなる人を「パクリでしょ」というつもりは、まったくないです。


だって、「走れメロス」そのものが、元ネタありですから。
ネタが浮かばなかった太宰が、シラーの詩を読んで、「これ書こう」と思ったわけですから(初出時には、ちゃんと「古伝説とシルレルの詩から」って書きそえてたらしいのでパクリではないですよ)。
そしてシラーも、ギリシャ神話「デイモンとピシアス」が元ネタですから。
石井桃子さんが「あら、あの話はいい話で、私も翻案しようと思ってたのよ、太宰さん、いいところに目をつけたわね」と思っていたというぐらい、有名な話ですから。


こういう場合は、パクリであるかどうかは、たいした問題じゃないんですよ。
どういう風に活かしたか、なんですよ。


むしろ太宰は、人妻の日記とか女学生の日記を丸パクした方がアレだよね、たぶん(笑)


猪瀬さんのフィクションですが、これ、割と面白かったので、オススメしておきます。
太宰のお兄さんのぼやきが好きです。『ピカレスク 太宰治伝』