世界の果てで、呟いてみるひとり。

鳴原あきらの過去・現在・未来

誰かの役に立つかもしれない創作のヒント★その8:宣伝について

1月20日開催のふらっとぺらっとの宣伝のために書いてきた記事ですが、本日で最終回としたいと思います。

 

・自作の宣伝、どうしてますか?

 

X(旧Twitter)が、宣伝ツールとしてほとんど死にかかっているので、皆さんも告知には苦労なさっていることと思います。
ただ、自作の本を手売りする皆さんは、どうしたら売れるかはご存じだと思います。

いろんなイベントに幅広く出る。
よい宣伝素材をつくって自作の魅力を広める。
自分でなんらかの企画を立ち上げて、顔を売る。

これ、お金・時間・体力をものすごく消費します。
リターンを考えると割に合わないと思います。
これはアマチュアだからではなくて、プロでもそうです。商業出版で本を売っている人も、手間暇かければ本が売れるのはわかっているのですが、やってもそこまでのリターンがないので、適当にバズってるものに乗っかるのです。

せめてお金をかけたくないという人は、いろんな作品を読んで感想を書くのもいいと思います。素敵な感想をもらって悪い気のする人はいません。そういう人脈の広げ方があります。でもこれも時間がかかりますし、そもそもけっこうなスキルの必要な作業です。
ただ、セルフ・ブランディングという言葉があります。商品じゃなくて自分を売る。この人は魅力的な人だから作品も魅力があるだろうと思わせる方法です。感想スキルもそういう意味で、磨いて損はないと思います。書ければですが……。

 

私の大学の先輩に、北原尚彦さんという人がいます。
日本有数のシャーロキアンなので、ご存じの方も多いと思います。私も在学中からホームズについてわからないことがあると、北原さんにきいていました。北原さんは学生の頃からホームズファンで、プロになる前からシャーロキアンの本に寄稿していました。
好きな物を絞り込む。これも売れるには大切なことです。
サラリーマンをやめて筆一本で暮らせるようになるまで、北原さんはコツコツと実績を積み重ねました。好きこそ物の上手なれといいますが、気の遠くなるような努力があったはずです。

北原さんは親切な人です。
実は私が大学に入学した年に北原さんは卒業していて、OBとしてサークルに遊びに来た時に初めてお会いしたのですが、「なりはらさんは何を読んでるの?」と言われ、図書館から借りて鞄にいれていた香山滋の一冊を見せました。するとサークルの合宿の日、北原さんは再び姿を現して、「この本、うちにダブっているからあげるよ」と香山滋の『ゴジラ』の復刻版をくださったのです。後で「どうして私に?」と質問したところ、「18歳の女の子が香山滋を読んでいるなんて、えらいと思って」といわれました。「つい最近も若い子にそんな風に本をあげた」と。
そりゃ人脈も広がろうものです。

北原さんのお話をきいていて、すごいなと思うことは、「自分の苦手なもの、嫌いな物であっても否定しない」という態度を一貫して貫いていることです。売れるために嫌いな物に迎合するのでなく、「その人にはその人の立場や好みがあるのだから、否定しない、気持ち悪いとさげすまない、馬鹿にしない」という姿勢を崩さない。

実は結構難しいことです。だから嫌われないのです。ファンが増えていくのです。私なんか顔に出ちゃうよ。口からも出ちゃうよ。
もしセルフ・ブランディングをするなら、この域までいかないとダメなんだろうなと思います。

 

コストパフォーマンスのよい宣伝方法というのは、なかなかないものなんですよね……。

 

 

以下、告知です。

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