世界の果てで、呟いてみるひとり。

鳴原あきらの過去・現在・未来

11/23、TRCで行われた文学フリマ東京へ参加してきました。


(再掲部分があります、ご容赦ください)


●前日まで


前日まで別の用事があり、あまり充分とはいえない準備をして、当日に望むことになってしまいました。
公式ウェブカタログの整備、エブリスタでの立ち読み登録、ツイッターでの宣伝、角川のEpub Viewerへの登録、までやったので、とりあえずやれることは、やったのかな、とは思いますが。


●当日


文学フリマはサークル入場時間が50分しかありません。10時開場ですが、10時についたのでは、入れるのは十数分後になります。ディスプレイに凝る人は要注意です。凝らない私でも準備は毎回、ギリギリです。


今回は買いたいサークルさんがけっこうあったので、11時にスペースを飛び出して、朝一番で30分ぐらいかけて買い物をしました。ぜんぶは買い切れませんでしたが、まずまずの収穫だったかと。


今回、新刊が『夏の黄昏』でしたので、ジャンルは「百合」でとりましたが、文学フリマにおいて、百合、BLでとってる人って少数派なんですよね。本当にガールズラブだけ売りたいなら、それだけを持って行くのでもいいかもしれないです。9月のGLフェスに来てくださった方が、次の新刊があるのでは、とのぞきにきてくださって、ちょっと申し訳ないことをいたしました。


チラシ置き場に少しだけ宣伝チラシをおかせていただいたんですが、最後にはすべて消えていました。あと、テキレボで配布した栞も、名刺代わりに使ったりもしつつ、すべてハケました。見て下さった皆様、ありがとうございました。


午後の遅めの時間に、「サインをいただけますか」と声をかけてくださった紳士がいらっしゃいまして、奥付ページに、お名前に添えて私の名前を書かせていただきました。
私のサインに価値などない気がしますが、それを言い出すとオマエが売っている本に価値はあるのか、という話になるので、おいておきましょう。
というか、本文に白いページって必要だな、とちょっと思ったことです。その方が本として、美しい。


文学フリマ固有の問題ではありませんが。


主催さんが気にしていて、サークル案内にまで書いている問題ですが。
隣のスペースにはみだして並んだり、立ち話をしたり、というのは、やめていただきたいわけですよね。
自分のサークルの展示が歩いている人から見えなくなりますし、売り上げのよくないサークルだからこそ、見てもらえないと困るわけです。
正直、はみださなくても、サークル前で十数分以上立ち話をするのも、通路をふさぎ続けているわけで、よろしくないわけですが。


が。


今回、もっと気になることが。


私の背後にいたサークルさんの、知人らしき人たちが、島端から通路にはみ出して何人も立っているのです。
座り込まれても嫌ですし、通路で立ち話も嫌なんですが、なにが一番嫌って、黙ってずーっと、スマホをいじってるわけです。
何のためにそこに立ってるの?


「そこは人の通るところなので、サークルの方でしたら、奥へ入って下さいね」「そこは通路なので、休憩でしたら、奥の方に座れるスペースありますから」と何度か声をかけるハメになりました。
なんというか、あきらかにサークルさんの友達でない方が、何人もいましたし。


無言の人がすぐ後ろに何人も立ってる(もしくは座り込んでる)って、怖いですよ。
そのスマホで無言で写真とかとってないですよね、荷物の中の貴重品とか、狙ってないですよね、っていう。


来年も参加しようと思っているので、配置によっては後ろ対策もしなきゃいけないかな、と思います。


公式の打ち上げもいろいろ工夫されていましたし(人見知りの私でも、知らない人と話せたり本を見てもらえたりするのですよ)、企画物を持ち込むには良いイベントなので、楽しく過ごしたいところです。


●読んだ本の感想(まだぜんぜん読み終えてません!)


文学フリマで買った本・その1


『迷迭香 第一巻 迷の章』
添田健一さんの翻案武侠小説。相変わらず読みやすい文体。ネタバレになるので伏せ字にしますが、この時代にして本格○○殺人事件が発生、△△物としても優れています。もう原稿は最後まで完成しているらしいので、来年の次巻が楽しみです!


文学フリマで買った本・その2


『怪奇な話』
安藤魚晴さんと渡邊利道さんの合同ホラー本。安藤さんはホラーというより実験小説? 渡邊さんはいつもの文体にのせて、死のイメージが限りなく重なっていきます。最後のページにたどり着いた時に気がつきましたが、主人公もすでに、三途の川を渡っていた……?


文学フリマで買った本・その3


アントニイ・バークリー書評集 vol.3』
安定の面白さ。バークリーのファンでなくとも、いろんな発見があるはず。vol.2の時はカヴァンを読みたくなりましたし、今回も冒頭の寄稿原稿や作家紹介と見所がたくさんあります。


文学フリマで買った本・その4


『聖ルイジの百合について』
翻訳家・垂野創一郎さんの企画物で、聖セバスチャンネタ。手製本。読みながら、ファージョンの「天国を出ていく」を思い出していたのは私だけでしょうか……企画のその後がどう展開するのか楽しみです。


文学フリマで買った本・その5


『憑妖』
猫春さんの新刊。もっと妖怪妖怪したお話かな、と思っていたら、良質の時代物連作集でした。印刷屋さんの使い方もわかってらっしゃる、と思った本です。


文学フリマで買った本・その6


『Blood the Trigger』
白河紫苑さんの仕掛け本。試験管に石まで詰め込まれているので、割れないように梱包していただきました。内容も両A面のジグソウパズルですが、製本の手間を考えたら気が遠くなります。元通りに縛れない……!


文学フリマで買った本・その7


綺羅星と星屑』
象印社・くまっこさんの丁寧な造本にふさわしい、ファンタジーな世界観。にもかかわらず、やさしい日常世界が広がります。後半は詩。いつもの素敵な1冊です。


文学フリマで買った本・その8


『草の中のダイヤモンド』
我刊我書房、というか盛林堂書房さんの豆本。ようやく購入しました、というか。最近、折り本で昔の文学を読むという流行がありますが、個人的にはこういう冊子の形がいいですね。


文学フリマで買った本・その9


『もっとあたらしい歴史教科書 世界史C』(まだ読みかけ)


アフロディテの鳩」
みづはしさんは、サッフォーネタ。呉茂一さんの偉業を思い出しつつ読みました。これが歴史物デビューとは思えませんが、瑞々しい筆致で読みやすかったです。


「太陽娘と最高賢者、世界の計測に挑む」
地球の周囲が4万キロというのはこの時代に知られていたよ、という鉄板ネタ物。青砥さんは妖怪だけじゃないよ。図書館灯台投石機自動販売機と鉄板づくしです


「桃花源郷」
中国物。夫婦の情愛を悲しくもしっとりと。


「月落於五丈原
あのブスで有名だったあの人をこういう使い方したかー!という。実は途中まで『私説三国志 天の華・地の風』路線かと思っていましたが、オチが○○だった!


「斯くしてテュランノス入滅に至る」
いい話なのにアッティラ王に感情移入しにくかった……イントロはすごくよかったのですが。


マインツのヴィルヘルム」
並木さんご本人のイメージ通りな端正な文体。題材的に、私だったら時系列をひっくり返して書いてしまうだろうところを、淡々と書いて余韻を残しています。


「アデンにて」
添田さん、洋物もいけるのか、と思ったら、実は中華物のバリエーションでした! 文体的にも東洋のお話の方があっている気がします。


文学フリマで買った本・その10
『ミステリ読者のための連城三紀彦全作品ガイド増補改訂版』
まだ最初しか読んでないんですが、いやこの世代の人がよくぞここまでやってくださった、という気持ちでいっぱいです。私はメフィスト以降の作家さんが一部しか読めないのに(情けない)


文学フリマで買った本・その11


『『新青年』趣味16号』
これは特集的にも、押さえで買ったんですが以前の号も完全に読み終えてない(適当につまんで読んでいるので通して読んだの1冊ぐらいだ)ので、きっとこれも気になる方だけ読む予感。


文学フリマでもらった本・その1


『アンソロジーガイドブック』
うっかりしていて複数箇所で受け取ってしまいました。象印社のくまっこさんの企画本。力作。アンソロジーだけの紹介本という、こんな難しい企画をよくここまで仕上げられるなあ、と……!


文学フリマでもらった本・その2


『書肆盛林堂刊行書籍目録β版』
盛林堂さんの貴重な目録をいただきましたー! この中の数冊しかもっていませんが、どれも優れた1冊ですよ!



……とりいそぎ、今回の文学フリマの感想は、こんな感じで!