世界の果てで、呟いてみるひとり。

鳴原あきらの過去・現在・未来

腕を吊りながら、電車に乗れるかトライ(しちゃだめだった)

2/11から日本でも公開中の、映画「キャロル」。
http://carol-movie.com/



前売り(ポストカードつきムビチケ)を、新宿で購入していたにもかかわらず、上映の数日前に骨折し、電車に乗って遠出するどころか、仕事を一ヶ月半以上休むハメになり(2月のアルバムツアーも行けませんでした)、とてもとても、映画どころではありませんでした。


しかし、いちおう骨は(じゃっかん曲がってるけども)くっつき、腕を吊りながらでも、職場に行けるようになった。


そろそろ、電車に乗れるかどうか、確かめてもいいのでは、と、横浜の映画館まで行ってみることにしました。


えーとですね。


まだ、乗れる段階では、ありませんでした……。


リハビリ中の左腕が痛くて、二の腕がどこかにちょっと触れたりするだけで、「ひゃっ」と飛び上がる始末。
これは、今後も、そうとう用心しないと、ダメっぽいです。
「いま無理をすると悪化しますよ」と療法士の先生にいわれてるんですが、ほんとうに無理でした。まだ負荷はかけられない。まあ、重い荷物もったりしたわけではないので、安静にして様子を見ます……また月曜日、リハビリ行きますし。


で。


話を戻しますね。


あまり遠い映画館は不安なので、初めてのところではありますが、関内にある、「横浜シネマリン」を選びました。一番館はほとんど上映が終わってしまっていて(継続しているのは渋谷のシネパレスぐらい?)、いま上映していて、家から一番近いのがそこ、というか。外食はできないので、行く前にご飯をすませてから、いつものワンピースの上から腕を吊って、でかけます。自転車に乗れないので、駅までは徒歩(帰りはバス)。電車に乗ってからは、できれば座る方向で。



さて。
関内駅につきましたが。


公式の地図を出力してもっていたのですが、今ひとつ、わからない。


南口の改札のお姉さんに訊いてみたところ、「シネマリンですね。改札外の横断歩道を二つ渡ったら右折してください。正面にみずほ銀行が見えてきますので、その通りを左折すると、ずーっといくと、右側に見えてきます」だそうで。


この案内は、正しかったです。


が。地図に表示されているルートが、あってなかった。


私は右側に見えてこない映画館に不安になり、案内図どおりの(早めの)交差点で右折してしまいました。当然、わからなくなり、コンビニに飛び込んで、もう一度教えてもらう始末。ところがそれでも道に迷い、ついに、信号待ちをしているご夫妻らしき人に「この近所に映画館がありませんでしょうか」と訊く始末。
迷惑!


「たしか、次の信号の右側の角に、映画館があった気がします。やってるかどうか、わかりませんけど」


お言葉どおり、そこに映画館はありました。


が、なぜかドアが閉まっており、開きません。鍵穴にガムテープまで貼ってある。
やっている映画のポスターと、「日曜日の最終上映は1000円」という貼り紙があるところから、ここで間違いないはずなのに。
「なんで入れないの?」と上を見たら、「入り口は反対側です」という看板が。


表通りに面してないとは、思わなかった……暗いし、そこまで、普通は、視線、あげないですよ……。


皆様、本当に、ご親切にありがとうございました。


というわけで、上映10分前(予告編始まってる)にギリギリ滑り込み。
ムビチケで発券してもらって、パンフを買うのは後回しにして、真ん中あたりの席へ。
中途半端な時間に、駅から遠い単館映画館へ観に来る人は少ないようで、入っている人は、10名にも満たない感じ。


「原作とだいぶ違うところがありますよ」ときいていたので、某所にアップされていた脚本の準備稿に、ざっと目を通して、いちおう予習済み。これはあまり良いことではないですが、映像に集中したくて映画館にきたので。


あー。


ほんとに違うわ……!


長編を圧縮して映像化したために、だいぶ省略されたりひとつにまとめられたりしている!


テレーズの、カメラマン志望はともかく。
ダニーの職業が変わってて、しかもチャラ男!(作品の唯一の良心でなくなってる! 家に入れちゃいけない系男!)
リチャードが、トラック乗り回すガス会社のボンボンじゃなくて、自転車を乗りまわす、ちょっと真面目っぽい男に!
ハージも、マザコンだけど原作より良い男!
あの慇懃な探偵が、陽気でしまりのない兄ちゃんに!
ロビチェクさん、結局、出なかった!(脚本だと、彼女にソーセージ贈る場面まで残ってたのに、日本版はカットされちゃったのかしら)


ルーニー・マーラのテレーズに期待していったのですが。
やっぱり、ケイト・ブランシェットが、巧かったです。
ものすごく、キャロルに感情移入できる。


原作ではけっこうダメセレブなんですが、ケイトの演じるキャロルは、そこがダメな部分になってなくて、ちゃんと、キャロルの「生き方」になっていた。
だからカッコイイ。これは良いです。好みです。
彼女じゃトウが立ちすぎなんじゃ、と思っていましたが、ものすごく「わかって」演じているのが伝わってきて、これはアリでした。カンヌで賞とったのも、イギリスで歴代LGBT映画で1位をとったのも、わかります。
もちろん、ルーニー・マーラも良かったです。原作の、自意識過剰な少女なところが、なんとなく脇の甘い可愛い子ちゃんになっちゃってたけれども、「意識」は映像じゃ、描ききれないですからね。


映画をきっかけに、原作ももっと読まれるといいです。
せっかく、翻訳が出たわけですから。


パンフは買いましたが、写真集としてみるのがいいかもな、と思いました。
インタビューはちょっと、偏りがあります……。


シネマリンは、リピート割引あるようなので、もう一回ぐらい行ってもいいかな、とも思いましたが、まあ、次に行くことがあったら、別のところに行くかな……。
DVD化されたら、買いますよ。
けっこう細かい表現があって、レコード屋に入ったテレーズをじろじろ見ている、二人の男装女性のカットとか、意識してないと「ん?」で終わってしまいそうですし。原作で一番インパクトのある、「リチャードが凧の糸を切る=リチャードとの関係が終わる」場面の前に置かれていることに、意味があるよね、あのカット(映画ではたこあげしません)。


この程度は、ネタバレになっていないと思いますので、まったく伏せませんでした。
これからのご予定の方は……損はしないと思いますので、サービスデーでもなんでも、ご覧になってみてください。渋谷でも新宿でもやってます。


あ、拍手ありがとうございました!