世界の果てで、呟いてみるひとり。

鳴原あきらの過去・現在・未来

伊勢丹のANNA SUIで、流れ星リップの401番を塗ってもらった話


私が自分の個人作品集をオフセット印刷で出し始めたのは、26年前のこと。
感熱紙に、ドットでガタガタの文字を出力して、それをコピーして版下にはりこみ、電車に乗って入稿しにいっていました。表紙は一色刷で120ページほどしかなく、当時は安い印刷所を選んでも、今の一ヶ月分のお給料以上のお金がかかりました。


それはまあ、趣味でやっていることなわけで、その頃は即売会で頒布するなどということもなく(即売会の存在は知っていましたが、基礎知識はゼロ、数年後に自分が出るなんてまったく予想していなかった)、刷り上がった本は知り合いに送ったり、雑誌の宣伝欄に載せてもらって、通販したりしていました。
それこそ、小学校の頃の担任の先生にも送ったりしていました(hydeが小学校の恩師に、自分のCDを送ってたのと同じ感覚だと思ってください←同じ?)。


ある日、先生から、薄い箱が届きました。
なんだろう、と思って開けてみると、伊勢丹の商品券だった。
「創作活動の足しにしてください」と一言添えてあって、「先生……大変ありがたいんですが、これをどうやって足しにしたらいいのでしょうか」と、そのままずっと、枕元にしまっておきました。
その後、伊勢丹に行ったこともありましたが、同じような服でも、地元のデパートと桁が1桁違うので、服なんて買えないわけですよ。


というわけで、枕元から、その箱はずっと動かないでいた。
掃除の時に、取り出しては中を確認して戻す、という感じで。


ところで、一昨年買った流れ星リップですが、マキアージュと平行してつけていたものの、ついに、ほぼ無くなりました。
相変わらず、星モチーフや蝶モチーフは集めているので、新しいものを買おうと思って、アナスイの公式サイトにいって、気がつきました。


新宿の伊勢丹の中に、アナスイ、入ってる!
他の用事のついでに世界堂に寄る帰りに、行ける。
アナスイはどこで買っても同じ値段で、少なくとも一桁も変わることはない。


というわけで、先生にいただいた商品券の一部を鞄に忍ばせて、伊勢丹へ。
混み合っている化粧品売り場の中に、アナスイの一角を発見。
流れ星リップも、おいてあります。
前に買えなかった色味もあります。


ショップのお姉さんに「今、400番を使ってるんですが、綺麗な赤で好きなんですが、もうすこしピンクよりの色味はありますか」ときいてみます。
「それでは401番をお試しになりますか」といわれ、「はい」と返事をしたら、お姉さん、さっと保湿剤と401番の見本から一部を削り取り、「失礼します」と私の唇に紅筆で塗ってくれます。


ひょー。


伊勢丹だとこういう展開になるのか!


保湿剤もすすめられましたが、とりあえずお目当ての401番をもらうことにして、「すみません、伊勢丹の商品券は使えますか」ときくと、「使えます」といわれたので、端数だけ小銭で払うことに。「レジが少し遠いものですから、お待ちいただいてもよろしいですか」といわれ、待っていると、BBクリームの試供品と一緒に、例のアナスイの袋に入れてくれます。自宅用でもあれに入れてくれるんですね……。


それにしても、あの狭い、混雑した売り場での身のこなしはお見事でした。
伊達に伊勢丹のショップに勤めてない。
「いつもありがとうございます」といわれて「こちらこそありがとうございます」と401番を塗ったまま帰りました。


次に残った商品券を使うのは、また、二年後かな(えっ)。
伊勢丹の三階にはアナスイの服の方のショップがあるようなんですが、小物はたぶんそんなにないと思うので。


次にリップを買う時は、色を変えるかもしれませんが。
今回はマキアージュ時代の色味に近い色にしたので、次はまた赤っぽい色にするかもしれないです。


しかし、買って二年もたっても、まだ薔薇の香りがするんですよ……本来的にそんなに長くつかうべきものじゃないんでしょうけれども。
でも、これだけ保って、ほのかに香って、あれだけ発色が綺麗なら、そりゃ若い人に大人気だよね、アナスイ。若い人じゃなくてもつけていいよね、アナスイ


先生、どうもありがとうございました。